ドドバシカメラ白石店を知っていますか?
白石ラプソディ
ドドバシカメラ白石店の前、電光ナンバーの車が荒れ狂う。純正じゃないテールランプが赤く点滅して、あらゆる前を走る車を煽り散らす。俺は数台後ろでただ見ているしかなかった。ナンバーは確認できない。まるで名前を持たない恋人のように、正体を知ることができない存在だった。
先週、役所の朝礼で発表された。「ここにドン・キホーテを建てます」ってな。治安が悪くなるだの、新たにアオキやウェルシアが出店するだの、笑い話みたいな未来予想図が飛び交う。だが俺にはどうでもよかった。だって、白石の街そのものがすでにパンクで、そして俺たちの恋もそうだったから。
今までの白石にはこんな無茶はなかった。ロシア大使館だって、もっと計算高く動く。市長が大学を怒らせて関係がこじれ、蔵王や七ヶ宿から選出された議員たちが反対に回っても、俺たちの心臓のビートは止まらない。
彼女は言った。
「街がどうなろうと、アホな走行をしてるのはあたしたち自身なんだよ」
赤く光るテールランプみたいに、俺たちの恋は歪で危うい。だけど、その光を追いかけずにはいられない。白石の夜、ビルの隙間から見える星にすら逆らって。
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