プリリンモモンガロヒ――それは遥か昔、風の王国アスフェリアで囁かれた禁断の愛の呪文だった。


高貴なる家系に生まれた令嬢セリーヌと、城の地下で影を操る下賤の少年ガロヒ。
出会いは偶然、いや運命だった。セリーヌが森で迷った夜、彼女を救ったのがガロヒだった。

彼はモモンガのように音もなく舞い、プリリンと鳴く小獣を従えていた。
やがて二人は恋に落ちるが、それは王家の掟に背く禁忌。
反対する家臣たち、嫉妬に狂う婚約者ヴァルム、そして告げられる裏切り。
王女は処刑を命じられ、ガロヒは姿を消す。

だが最期の夜、セリーヌは呪文を詠んだ。
「プリリン……モモンガロヒ……」
その言葉に魔が宿り、彼女の命と引き換えに、ガロヒの心に永遠の記憶を刻んだ。

今もどこかで誰かが、ふとその名を思い出す。
プリリンモモンガロヒ。それは愛を超えて残る、魂の響きなのだ。