シャイニング [Blu-ray]


スティーブン・キングの原作小説を基に、監督スタンリー・キューブリック自らが共同脚色を手がけた、ホラー映画の金字塔。鮮やかな演技、戦慄の設定、そしてトラッキング・ショットによる幻想的な映像を融合し、かつてない恐怖の世界を描き出す。ジャック・ニコルソン(「お客様だよ!」の台詞はあまりにも有名)演じるジャック・トランスは、妻(シェリー・デュバル)と息子(ダニー・ロイド)と共に優雅なオーバールック・ホテルを冬季管理人として訪れたことから物語は始まる。トランスはこのホテルを訪れたことはないはずなのだが ― 果たして?その答えは、狂気と殺戮が渦巻くこの場所にある。

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以下はアマゾンレビューより
日本で劇場公開されたのは119分版ですが、最初にソフト化されたのは米国と同じ143分版です。VHS、LD、DVD(99年発売分)までは143分でしたが、01年のリマスター時に119分版へと変更されました。07年リマスター時には画面サイズをアメリカンビスタに変更。BDも同仕様。画面サイズは賛否が分かれても、監督が亡くなる年まで日本国内で販売されていたソフトは143分版。以下、カットされたシーンです。
1.ウェンディ、ダニーの会話ラストからビルの登場シーン。ジャックが元教師である事やホテルを6ヶ月閉鎖する理由等が語られる。
2."血の激流"の後、女医の診察シーン。口の中にトニーが住んでいるとダニーが語る(ウェンディはトニーを空想の親友としている)。
3.2の後、リビングに移動して女医とウェンディの会話。トニーと話し始めたのは酒に酔ったジャックの暴力が原因だとわかる。ジャックはウェンディに対し「もう酒は飲まない。飲んだら離婚する」と約束をして5ヶ月(教師を辞めボルダーに来て3ヶ月)禁酒を守っている。
4.支配人がホテル内を案内するシーン。以前はセレブも泊まりに来たと言うエピソード、ホテル内のデザインがインディアン風だと語られる。
5.生活スペース(斧でメチャクチャにする場所)に対しジャックが「家庭的ですな」と言う台詞、支配人が迷路について語るシーンをカット。
6.ゴールド・ボール・ルームについて語るシーン。保険料が安くなるので冬場は酒を置かない事も説明される(ジャックは「下戸です」と返答)。ハロランを一家に紹介した後、移動中のハロラン、ウェンディの短い会話をカット。
7.ハロランとダニーの会話。「よく考えてごらん "先生"」の後、「さあね」と返すダニー。ここが怖いのかと聞くダニーに対し、建物によっては超能力を持つものがあり、このホテルにも未来を予知させる何かがあるとハロランが語る(その後「何か悪いこと?」と続く)。
8.1ヶ月後、ウェンディがロビーを通って朝食を運ぶシーン(三輪車で走るダニーの前)。
9.朝食シーンで、ジャックが面接でホテルに来てすぐ気に入った事、昔来た事がある気がした上に、どこに何があるのかも全て覚えている気がしたと冗談めかして語るシーンをカット。
10.ジャックがボールを投げつけるシーン。壁のデザインがインディアンだと(はっきり)判る。
11.火曜日、ウェンディが缶詰を開けるシーン。テレビでは殺人犯脱獄のニュースやコロラドに雪が降る事を伝えている。
12.雪の中で遊ぶウェンディとダニーの前、"木曜日"の表示画面をカット(遊ぶシーン及びその前のジャックがタイプを打つシーンも短くなっている)。
13.月曜日、テレビで『おもいでの夏』を観ているウェンディとダニーのシーン。消防車を取って来ていいかウェンディに尋ねるダニー。
14.水曜日、ロイドとの会話。「光栄で」の後、「5か月間の惨めな禁酒に乾杯」等の台詞と1杯目の飲酒をカット。横からのアングルで2杯目を注ぐシーンと短い会話をカット。
15.237号室から戻ったジャックとの会話で「ほかにどう説明する?」の後、「あの子はよく空想するのだから。ここへ来る前もそうだった」と言う台詞をカット。
16.トイレでのグレーディーとの会話の後、ウェンディとダニーの会話をカット。ウェンディが雪上車に乗って逃げよう、夫が来なければ二人で行こうと独り言を言っていると、ダニーの部屋から「レッドラム、レッドラム・・・」と声がする。ウェンディが声をかけてもいつもとは違う声色で「ダニーはいない。トランスの奥さん」「ダニーは遠くへ行った。トランスの奥さん」と繰り返すダニー("トランスの奥さん"は冒頭の会話でも使われている)。
17.ジャックが無線機の部品を取るシーンが長い。ハロランが森林警備隊に2度目の電話。飛行機の前、"午前8時"表示画面をカット。
18.機内でハロランが到着時間(8時20分)を尋ねる。タイプライターに向かうジャック。到着する飛行機。ラリーがハロランからの電話で雪上車の手配を請け負うシーン。ハロランは空港で車を借りて5時間後に向かうと伝える。
19.車内でラジオを聴くハロランの後、テレビで『ロードランナー』を観ているウェンディとダニーの会話をカット。「パパと話をしてくる」と伝えるウェンディ。「はい。トランスの奥さん」と返すダニー(この時は指が動く)。気付かれない様にバットを手に取るウェンディ。
20.迷路でダニーを追いかけるジャックが「逃げられないぞ」と言った後、ウェンディがクモの巣に覆われたロビーでガイコツ達を見るシーン。
*引用した台詞は99年発売のDVDより
カットの傾向を見ると「家族の過去」「ホテルに関する説明」「ホテル内でテレビが映る(点いている)シーン」「ハロランの雪上車手配とその時間」の4つに大別されます。キューブリックが削りたかったのは"情報"だけだったと思いますが、この監督らしからぬ細かな人間描写まで削がれているのが残念ですね。特にシーン9はジャックが正気を失う伏線としても機能しており、カットされた事でジャックの変化がより性急な印象を受けます。テレビが映る事も個人的には重要なファクターで、ジャックだけが心象風景に取り憑かれる説得力が増していると思うのですが。
ホテルには2つの時間軸が存在すると解釈しています。1つはホテルの管理を任された現在のトランス一家。もう1つは独立記念日のパーティを続ける懐古主義的な過去の幽霊達。後者が象徴しているのは歴史の暗部であり、インディアンの墓の上に建てたホテルはアメリカその物と言えます。人生に行き詰まり閉鎖空間でおかしくなった白人男性と排他的なナショナリズムが交錯する訳です。劇中で傷付けられるのは黒人とアポロ11号(差別撤廃に尽力したケネディの象徴か)のセーターを着た子供です(過去に抑圧を受けた彼等だけが特別な能力を持っている)。グレーディーは先の時間軸に拠ってファーストネームが異なるのですが、ジャックもまたもう一人のトランス(ラストの写真)との間でフラフラしているのです。2003年10月号の映画秘宝に載っていた本作の映画評では一言も触れられていなかった前述の暗喩と家族の変化がコンチネンタル版だと非常に解りづらい。2時間以内に収めたかったんだろうけどカットし過ぎ。日本でも当初は143分版が販売されていたのだから。2020年に向けて40周年記念盤的な奴をカキーン

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